オブジェクト座標系
オブジェクト座標系(OCS) は図面データベース(および DXF ファイル)内のスペースを節約するため、各図形を構成する点が図形独自の座標系(OCS)で表現されているもの。OCS では、3D 空間での図形の位置を記述するために必要な唯一の追加情報は、OCS の Z 軸を表す 3D ベクトルと高度の値となる。
Z 軸(または押し出し)方向が決まっても、3 次元空間内で原点を移動したり、X 軸および Y 軸を Z 軸を中心に回転させることがきるので無限の座標系が存在し、特定の座標系を決定することはできない。しかし、1 つの Z 軸方向に対しての OCS はただ 1 つである。
OCS は、次のような特性を持っている。
- 原点は、WCSの原点と一致している。
- XY 平面内での X 軸および Y 軸の方向は、任意でかつ定型の方法で計算される。CAD はこの計算を、任意の軸アルゴリズムを使用して行う(任意の軸アルゴリズムを参照)。
- いくつかの図形では、OCS は WCS と同じで、すべての点(DXF グループ 10 ~ 37)はワールド座標で表されている。次の表を参照。
図形タイプに対応する座標系 図形 注意 3D 図形。線分、点、3D 面、3D ポリライン、3D 頂点、3D メッシュ、3D メッシュ頂点など。 これらの図形は、特定の平面上に存在するわけではない。すべての点はワールド座標で表される。これらの図形の中で、線分と点のみ押し出しが可能。押し出し方向は、ワールド Z 軸以外でもかまわない。 2D 図形。円、円弧、塗り潰し、太線、文字、属性、属性定義、シェイプ、ブロック挿入、2D ポリライン、2D 頂点、LW ポリライン、ハッチング、イメージなど。 これらの図形は、本質的に平面である。すべての点は、オブジェクト座標で表される。これらの図形は押し出しが可能。押し出し方向は、ワールド Z 軸以外でもかまわない。 寸法 寸法の点のいくつかは WCS で表され、いくつかは OCS で表されている。 ビューポート ワールド座標で表されている。
- 与えられた図形に対し、CAD が一度 OCS を確立すると、OCS は次に示すように機能する。図形と一緒に格納されている高度の値は、XY 平面を(WCS 原点から)Z 軸に沿ってどれだけの距離シフトするかを示す。ユーザが定義した高度の値は、重要ではない。
- UCS を介して入力された 2D 点はすべて UCS に関してシフトおよび回転され、 OCS の対応する 2D 点に変換される。この処理には注意点がある。>> 図形を獲得したとき、どの UCS が有効だったかを確実に見つけ出すことはできない。特定の UCS で図形の XY 座標を入力してから SAVEAS[名前を付けて保存]コマンドを行った場合は、入力した XY 座標を DXF ファイルで見つけることは恐らくできない。CAD が、それらの値を使用して作業するために X 軸 および Y 軸を計算する方法を理解しておく必要がある。
- 図形と一緒に格納され DXF ファイルに出力される高度の値は、UCS XY 平面と OCS XY 平面間の Z 座標の差と、その図形が作成されたときのユーザ定義の高度の値との合計。